第5分科会

第5分科会

異常なまでの地方税・国保料の徴収
~「前橋問題」を徹底的に探究する ~


担当:滞納処分対策全国会議

【開催趣旨】

 国や地方自治体が、期限までに納付されない税や国保料などについて、滞納者の意思に関わり無く強制的に徴収する行為を滞
納処分といいます。この滞納処分は、私債権の場合と異なり、自力執行権と調査権が認められていますが、その運用については、
各地方自治体によって大きく異なっているのが実態です。なかには行き過ぎた滞納処分により、住民の財産権や生存権が脅かされ
る例も見られます。この分科会では、こうした滞納処分に関する基礎知識と、運用の実態、そして行き過ぎた滞納処分に対する対抗
策などを、さまざまな実例を通して学んでいきます。

【研修内容】

 前橋市は、群馬県の県庁所在地です。人口34万人足らずの地方都市ですが、地方税や国保料(税)の滞納を理由とする財産差
押えが、年間7000件から1万件もあります。人口50万人以上の栃木県の宇都宮市で、差押え件数が年間2000件程度であること
と比較すると、この数字は異常であると言わざるを得ません。もっともこの前橋市でも、平成16年度以前は、年間の差押え件数が
年間1000件を越えることはありませんでした。なぜここまで差押えが増加したのでしょうか。
 この前橋市をはじめとして、現在、全国の地方自治体では、地方税や国保料の滞納を理由とする財産の差押えが多発しています。
例えば国保料(税)の差押え件数は、全国で33万6436件(2016年度)と、前年度の29万8374件と比較して12.8%も増加して
います。いま全国で差押えが増加している原因は何なのでしょうか。
 こうした、国や地方自治体が、期限までに納付されない税や国保料などについて、滞納者の意思に関わり無く強制的に徴収する
手続きを滞納処分といいます。この滞納処分は、国税徴収法や地方税法などを根拠としますが、債務名義を必要とせずに滞納者の
財産を差押えることができること(自力執行権)や、滞納者の財産に対する強力な調査権が認められる点で、民事執行法による強
制執行とは大きく性格が異なります。それゆえ、適正な滞納処分が執行されるという手続的保障があるわけではなく、常に市民の
財産権や生存権までもが侵害される危険を伴っています。どうすればこうした危険を避けることができるのでしょうか。
 今年1月31日には、税滞納者の給与が銀行口座に振り込まれたその日に前橋市がその全額を差し押さえた事件について、前橋
地裁がこれを脱法行為と認定し、差し押さえた金額の全額返還を市に命じました。ついで2月28日にも、税滞納者の年金が銀行口
座に振り込まれると即時に前橋市が差し押さえた行為について、前橋地裁はこれを違法と断じました。なぜこうした判決が相次い
で言い渡されることになったのでしょうか。
 この分科会は、こうした滞納処分に関する基礎的な知識や手続きの流れ、納税緩和制度の詳細、さらに様々な問題事例とその法
的な対応策について講義します。特に前橋地裁での二つの事件において原告代理人を務めた吉野晶先生には、この判決の意義に
ついて詳細に解説していただく予定です。市民の権利保護と両立する税の徴収のあり方とはいかなるものか、この分科会を通じて
私たちとともに考えていきましょう。
 市民の権利を守る青年法律家である皆さまのご参加を、心よりお待ち申し上げています。

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