第2分科会

第2分科会

「沖縄に民主主義が適用されなければ、
日本に民主主義がないことと同じである」


担当:沖縄県司法書士青年の会 

【開催趣旨】

 日本は民主主義の国でしょうか?
 「当たり前だ。戦後日本は立憲民主主義国家ではないか」という反応が多いと思います。 もしかすると、「いや、最近の政府のやり方は非民主主義的
なところがあるな」という人もいるかもしれません。
 民主主義の原理は“みんなで決めよう”というものです。一人の指導者や一つの党、あるいは軍隊が独裁するのではなく、民=みんながものごとの決
定に参加するのです。とはいえ、それぞれ考え方は違いますから、わがままを言ったり、対立しあったりするままでは決定することができません。そこで、
投票をしたりして、いわゆる多数決で決定していくことになります。
 では、沖縄はどうでしょうか。日本を構成する47都道府県の一つですが、戦後27年間はアメリカ軍の統治下にあり、戦後日本の民主主義からは
外されていました。47都道府県のなかで、沖縄県の占める面積は、わずか0.6%にすぎませんが、日本の民主主義制度に入ってからも、そこに在日
米軍専用施設の7割以上が集中しています。 また、長らく沖縄県民が撤去を求めてきた普天間基地がようやく動く-と思いきや、同じ県内でたらいま
わしにされ、名護市辺野古の沿岸部にさらなる強化をほどこされた新基地として建設されることになり、沖縄県民の反対をよそに、工事が強行されて
います。  
 こうしたことには、民主主義が適用されているのでしょうか? 適用されている、というためには、沖縄が決定に参加しているはずですが、米軍基地が
沖縄に建設されることについても、日本復帰後にそれが残留されることについても、辺野古新基地建設についても、すべての決定は沖縄が参加するこ
となく行われてきました。
 さきほど、民主主義は多数決で決定していくと述べましたが、もう一つ、民主主義で欠かしてはいけないことがあります。それは、少数者の意見を尊
重するということです。多数決は、意見が対立し、話し合っても決定できない場合、民主主義的に物事を決定する大切な仕組みです。 しかし、あらかじ
め多数者と少数者が分かれていれば、すべての多数決は多数者の意見のままとなります。そうではなく、ある物事について、必ず少数派になってしま
う立場の人びと(固定的少数者)に対しては、排除したり、人権を侵害したりすることのないよう、尊重する仕組みを取り入れなければ、民主主義の
“みんなで決めよう”という原理を守っていることにならないのです。米軍基地をめぐる問題については、沖縄は、沖縄以外の本土46都道府県に対し
て、固定的少数者の立場にあります。では、その固定的少数者の沖縄の意見は、日本の民主主義において尊重されてきたと言えるのでしょうか?米軍
基地の偏重に対しても、辺野古新基地建設に対しても、沖縄県民は、くりかえしその是正を主張してきました。
 政治哲学者のジョン・ロールズは、ある社会において不平等が許されるケース(つまり不平等の最小限度)について、次のように規定しました。「社
会的・経済的不平等は、次の二つの条件を充たさなければならない。第一に、社会的・経済的不平等が、機会の公正な平等という条件のもとで全員に
開かれた職務と地位に伴うものであるということ。第二に、社会的・経済的不平等が、社会のなかで最も不利な状況にある構成員にとって最大の利益
になるということ。」。 ここに沖縄をあてはめてみましょう。第一の「機会の公正な平等」とは、手続き的公正を述べています。普天間基地の代替施設が
辺野古に決定した理由が、軍事的理由ではなく「本土の理解が得られないから沖縄」という政治的理由によることが明らかになっているように、この
条件は満たされません。では第二の条件はどうでしょう。沖縄が基地によってこうむっている不平等は、沖縄にとっての「最大の利益」になっているで
しょうか。沖縄県経済にとって基地への依存度は5%台にまで低下し、また基地が返還された地域がはるかに活性化している現実があります。よって、
この条件も満たされません。なお、実はロールズはこの規定の前提として、みんなが「平等な基本的諸自由からなる十分適切な枠組への同一の侵すこ
とのできない請求権をもって」いるべきとしています。沖縄の歴史も踏まえた現状をみると、沖縄の人たちは、構造的差別によって憲法が保障する平
等な基本的諸自由が侵害されており、これにも該当しないことになります。言い換えると沖縄が求めるものは「自由」と「平等」なのです。
 さて、冒頭の問いに戻れば、日本が民主主義の国であるのか、あやしくなってきました。では、「最近の政府のやり方は非民主主義的なところがある」
と考える人が正解なのでしょうか。本分科会では、そう考える人もまた、本来の意味で民主主義に参加しているのだろうか-そんな問題提起をします。
 あらためて、沖縄から問います。日本は民主主義の国でしょうか。
 沖縄に民主主義が適用されないのならば、日本に民主主義がないのと同じではないでしょうか。
 この分科会では、辺野古新基地建設に代表される問題の「公正」で「民主的」な解決を求めるとともに、みなさんとその議論を深めていきます。

【研修内容】

 ・ 民主主義、憲法、国際人権法、正義論、構造的暴力、積極的平和等について学ぶ
 ・ ディスカッション

更新日:

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