第10分科会

第10分科会

司法書士と権利の保全
~ 今たたかわれている行政訴訟を題材に ~


担当:共有物分割登録免許税訴訟支援団(群馬会会員有志)

【開催趣旨】

 人口あたりの訴訟件数を比較した訴訟率という数字があります。 少し古い資料ですが、旧西ドイツと日本の行政訴訟について訴
訟率を比較したデータがあり、それによると旧西ドイツの訴訟率は日本の800倍になるそうです(宮澤節生著『法過程のリアリティ』
165頁)。おそらく現在でもこの数字に大きな変化はないでしょう。また原告が勝訴する割合は5%以下ともいわれています。日本
の行政訴訟の件数・勝訴の割合はともに極端に少ないのです。群馬県伊勢崎市の住民17名が、国(法務局)を相手にこの困難な
行政訴訟をたたかっています。私たち支援団は、司法書士の職務に密接に関連したこの訴訟を、訴状作成の段階から全面的に協
力・支援してきました。
 原告らは土地区画整理事業施行中の住宅地を20年以上前に購入し居住してきました。土地を購入した当時、法務局は、仮換
地指定を受けた土地の従前地の分筆は原則としてできないという取扱いをしていました。このため原告らは所有権を取得したにも
かかわらず、隣地所有者等との共有登記しかできなかったのです。ようやく換地処分の登記がされ、この「共有」を解消するための
共有物分割を原因とする持分全部移転を申請したところ、法務局は、登録免許税法施行令9条1項やこれを前提とした平成12年
の民事局長通達に形式上該当しないことを理由に、共有物分割の1000分の4ではなく、その他の登記の1000分の20の税率に
よる納付が必要だとしてこの申請を却下したのです。原告らはこの処分の取消しを求めて訴えたのですが、前橋地裁は本年5月18
日の判決で請求を却下しました。原告らはただちに控訴の準備に入っています。
 そもそも施行令9条1項は、登録免許税逃れの不正な共有登記を防止することを名目に制定されました。これを法務局が原因で
やむなくされた共有登記に形式的に適用することは不当であり、行政の横暴です。
 本分科会では現在まさに係争のただなかにある本件を題材に、行政訴訟についての実践的な知識はもちろん、司法書士が果た
すべき社会的な役割についての認識を深めるためにも意義のある研修にしたいと思います。

【研修内容】

・ 第1審判決の内容と批判
・ 訴訟の決断と司法書士の役割の探究
・ 権利の保全と登記原因証明情報
・ 行政訴訟の特質と弁護士との協力
・ 憲法を具体化する司法書士の役割について

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